人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
医療分野におけるオープンデータ化に向けた医療情報の二次利用の課題
河﨑 泰子高坂 定
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2015 年 2015 巻 AIMED-001 号 p. 11-

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抄録

医療情報は、診療目的としての利用、医療行為の公的書類作成のための利用(診療報酬請求)という一次利用だけでなく、社会的利用、医療政策立案・検証への利用、医学(疫学)研究への利用等の二次利用が考えられる。科学的根拠に基づいて安全かつ有効性に基づいた医療が患者に対して公平にいきわたるように、必要となる情報を収集し、還元すべきものと考えられる。医療情報は、カルテに記載される専門性の高い情報から、保険請求に関わるレセプト情報、個人で管理可能な健康診断、服薬情報、個人レベルの健康ライフログに至るまで、多種多様である。医療機関においても、大学病院といった専門性の高い医療を提供できる医療機関から、個人経営の診療所に至るまで扱う情報の質は、千差万別である。本来的にはそれらの情報は個人に帰属するものであるが、個人で管理しえないという特徴をもつ。こうした医療情報の特殊性は、医療提供体制の社会システムに関わる。 平成27年9月3日に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部改正)により、医療分野への適用することにより二次利用に向けた大きな期待と、同時に、医療情報を適切に管理し生かしていく上での課題が浮き彫りになった。課題には、今後の医療モデルを構築する上での技術的、社会的課題があり、以下に例示する。以下に、例示する。 ・前提としてのデータの標準化と相互運用性の確保。 ・前提としての医療機関間の相互連携のシステム化と医療機関の個人への医療情報開示の促進。 ・匿名化技術の利用等によるプライバシー保護の徹底。 ・受益者にオープンデータ化した医療情報を開示し、多様な視点からの分析を促進するとともに、受益者のコンセンサスに基づく、医療サービスの充実とコストの最適化を追求

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© 2015 著作者
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