人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
AGI への道程:2017 年版
中川 裕志
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2017 年 2017 巻 AGI-007 号 p. 04-

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抄録

汎用人工知能(AGI)が実現する時期については諸説があり、例えばカーツワイルは2045年と想定している。その真偽はさておき、現在までに明らかになっている情報からAGIにまつわる技術状況を検討することは、AGIへの道程を占うために役立つであろう。この発表では、このような目的に従って、以下の議論を展開する。(1)目的特化型の人工知能を組み合わせてAGIを作ることの困難さはすでにボストロムに指摘されているが、ここでは多種類の目的特化型人工知能の集合から解決すべき目標に適した目的特化型人工知能を探索することの困難さについて述べる。(2)Brooksのサブサンプション・アーキテクチャを基礎として、AGIに関係の深い自意識を実現する可能性の候補として、最近、知られるようになった長距離ニューロンを組み合わせる方法について考察する。(3)単一のAGIが超知能として他のAGIおよび人類を支配ないし駆逐するような人工知能 脅威論は的外れであることを論ずる。以上のようにAGIないし超知能が実現しそうもないにもかかわらず、現在の弱い人工知能ですら人間社会においては実質的な脅威になるケースが散見されるという現状の俯瞰をもって、まとめとする。

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© 2017 著作者
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